大月市OさまのU1Eです。
神奈川県のご親戚から譲り受けたそうで、Oさまと相談して、移動の際にまずは工房に入れることにしました。
まずは中身のチェックを・・・
湿気が多かったみたいですね。ハンマーも鍵盤も戻りが悪かったり、戻らないものもあります。カビも多数あります。30年くらい前のピアノと聞いていましたが、実際は50年を越えているピアノでした。
Oさまもこのピアノの詳細をご存じないようでした。細かく検証すると・・・??? 鍵盤ブッシングクロスが部分的に貼り替えてあります。少し厚みがあるのと赤い色が鮮やかなものが貼り替えてあるクロスです。外装の補修跡などが見られましたので、どうやら前オーナーさんは中古でこのピアノを手に入れたようですね。
Oさまに工房へ来ていただいて、直接ピアノを見ながら作業の説明をさせていただきました。(写真ナシ)
「ピアノ」という楽器を扱うだけではなく、「これまで使ってきた人」「これから使う人」の気持ちを大事にしたいので、手間を惜しまず相談しながら向き合っていくのがシミズピアノサービスのこだわりです!
今回も同様で、必要最低限作業と「+オプション作業」の2案を提案させていただきました。
それでは作業を始めます!
全体を標準に戻す作業
鍵盤下の掃除をしてから、バランスピン・フロントピンをベンジンで洗浄。
鍵盤が戻らなかった原因は、鍵盤のクロスに湿気が混入・膨張して起こります。今回は軽度だったため、テフロンパウダー(白い樹脂の粉)で潤滑しコテを当てて直しました。
原因は、バットフレンジのブッシングクロス(赤)に湿気が混入して膨張し、穴が狭くなって動きが悪くなるのです。
ブッシングクロスをリーマー(ヤスリ)で削って新しいセンターピン(軸)を入れます。
リーマーとセンターピンは0.025mmごとに違うサイズの物を使用しています。精密さが必要な作業ですが、この作業はとても難易度が高いと私は思います。言葉は悪いですが「テキトー」にやっていて「動けばOK」的な同業者が多く見られます。1級ピアノ調律技能検定の試験科目にもありますが、私は100点満点でしたよ(笑)
症状としてはあまりひどくなかったのですが、これが基準となって全て組み上がっていくので、鍵盤の下に最薄0.03mmの専用ペーパーを使い高さを揃えていきます。
左から
0.03mm
0.04mm
0.06mm
0.08mm
0.15mm
0.16mm
0.20mm
0.29mm
その他、鍵盤深さ調整など重要な24工程を施して内部調整を終えました。
いつも思うのですが、写真でお伝えできないのがとても残念です💦
現在は全ての作業を終えています。
オプション作業の外装研磨クリーニングのブログを後日アップしますので、お待ちくださいね!
Pingback: 大月市OさまのU1E②|SPSピアノ工房日誌(ブログ)|シミズピアノサービス