Nさまから「山梨市にお住まいの娘さんのお宅へピアノを移動させたいので見てほしい」とお電話をいただいたので、さっそくお宅へ伺ってピアノを見させていただきました。
カワイの消音付きアップライトピアノ「AT-220」。
土地柄、湿気でカビてたりサビが絶対あるだろうな〜と思いながら外装を外して中を見ると・・・「えっ!!」って言うくらいキレイ!!!!! 全く湿気を感じません。ただ、前回の調律が平成8年で、しかも納入調律。つまり納品されて最初の調律が最後の調律です(泣)
消音メインだったのでしょうね。当然ながら音はメチャクチャだし、タッチも鍵盤もバラバラガタガタ。このままお孫さんが使うのにはあまりにも・・・だけじゃなく間違ったタッチを身につけてしまう恐れがありますので、すべてを標準に戻す作業を提案させていただきました。
いつもお世話になっています、松本ピアノ輸送さん。実は直前まで土砂降りだったのですが、上がって良かった〜!!
まずはハンマー整形から。弦溝は結構深いですね。消音ばかり使用したわけではなさそうです。
ビフォー(左)→ アフター(右)
アクションはネジの増し締めをしたり、潤滑処理や清掃作業したり・・・
鍵盤を外すと22年分のホコリが・・・(とは言ってもカナリ少ないほうですよ)
フロントピンをベンジンで洗浄します。ここが滑らないと鍵盤がスムーズに動かなくて「pp」が出せなくなるんですよ。右の写真、一番手前が磨く前です。鍵盤側のクロスにはテフロンパウダーを入れて潤滑します。写真撮り忘れです(;´Д`)
鍵盤ならしです。ビックリするくらいガタガタだし、特に鍵盤の傾きが目立ちます!! これをキレイにならさないと鍵盤が沈む深さがバラバラになってしまうので大事な作業です。が、手間と時間が掛かります(笑)
わかりにくいですが黒鍵も同様に。このあと深さ調整をしましたが写真では説明できない工程なので省略します。
ハンマー接近(レットオフ)
鍵盤をゆっくり下げるとハンマーが弦に近づき、弦から2mmの位置で止まるのが正しい調整ですが、このピアノは消音付きなので5〜7mmくらいの位置で調整が必要です。右のハンマーは調整前の状態。これではマトモに音が出せるわけないですね〜
このほかも色々と調整を重ねて、全部でおよそ30工程くらい調整し直しました。音があまりにも狂いすぎていたので2回調律をしました。写真で説明できないのが残念なのですが・・・
最後に全体にワックス掛けをして、ロゴマークも磨いて完成です!! 違いがうまく写せませんでした(泣)